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2024.10.23

虫歯になりやすい被せ物と、なりにくい被せ物の違いって?

現在の歯科治療では、虫歯やケガで歯の欠けた部分を人工材料を使って補う修復治療とよばれる治療法が行われています。

失われた部分の大きさによって、歯全体を覆うクラウン、歯を部分的に詰めるインレーなどに分けられます。

一度治してもまた虫歯になることがあるのですが、虫歯になりやすい被せ物や詰め物、なりにくい被せ物や詰め物があるのはご存知でしょうか?今回は、虫歯になりやすい被せ物となりにくい被せ物の違いについてお話しします。

虫歯の原因

虫歯になりやすいかどうかを考えるためには、まず虫歯の原因を説明しておかなければなりません。

虫歯菌

虫歯は、虫歯の原因菌、虫歯菌が作り出す酸が歯を溶かすことで起こる病気です。

ストレプトコッカス・ミュータンスミュータンス菌という言葉を聞いたことありませんか? これは、虫歯菌の代表格とも言える細菌です。 虫歯菌はミュータンス以外にもたくさんいます。

何かを食べた後、飲んだ後、歯を溶かそうと毎日のように、酸を作っています。

プラーク

虫歯菌は、細菌ですから顕微鏡でないと見えません。

ところが、たくさんたくさん集まるとそうではありません。 虫歯菌などの細菌がたくさん集まったものをプラークといい、歯の表面を擦ったら取れる白いカスがそれです。

目に見えない細菌が見えるくらいまで集まっているわけですから、プラークの中にどれだけたくさんの虫歯菌などがいるか想像もできませんね。 そのため、プラークが虫歯の原因と言われています。

虫歯になりやすい材料

虫歯になりやすい材料とは、このプラークがつきやすい材料です。

コンポジットレジン

コンポジットレジンは、プラスチック系の材料です。 歯の色に似ている上、とても使いやすいので、虫歯治療や入れ歯治療など、今の歯科治療には欠かせない材料として重宝されています。

ただ、コンポジットレジンは、やわらかいので歯ブラシなどで傷が入りやすいです。 この傷は目に見えないとても小さな傷ですが、細菌にとってはそうではなく、この傷を足場にしてプラークを作るほどに増えていきます。

金銀パラジウム合金

金銀パラジウム合金は、銀歯の材料として使われている金属系の材料です。 合金の名前は、普通は含有量が多い順に書くものなのですが、金銀パラジウム合金については金の量は少なく、銀の40%、パラジウムの20%に続く12%ほどにとどまっています。

金銀パラジウム合金は、素材の関係から電気を帯びやすい性質があります。 電気を帯びた金属材料には細菌が集まりやすいようで、このため、金銀パラジウム合金の表面にはプラークがつきやすい傾向が見られます。 同様に、銀合金やコバルトクロム合金という銀色の金属材料にもプラークがつきやすいです。

虫歯になりにくい材料

反対に、虫歯になりにくい材料とは、プラークがつきにくい材料ということになります。

セラミック

セラミックは、見た目の自然さに優れた上に、とても硬い材料です。 表面はとてもツルツルしており、そのうえ、硬いのでコンポジットレジンのように傷が入ることもまずないですし、金属材料のように電気を帯びることもありません。

このため、セラミックの表面にはプラークがつきにくく、たとえ汚れがついたとしても、歯磨きで簡単に取り除けるので、虫歯のリスクを低く保てます。

金合金

金合金は、金歯の材料として使われている金属系の材料です。 金は、電気を帯びにくい性質があり、金合金の表面にはプラークはなかなかつきません。

また、金はやわらかい金属として知られていますが、コンポジットレジンほどやわらかいわけではなく、傷もつきにくいです。 やわらかいのでとても薄く加工でき、金合金で作られた被せ物や詰め物の縁は合わせやすいです。 このため、金合金で治療した歯にはプラークがつきにくく、虫歯のリスクを抑えられます。

虫歯になりやすい被せ物や詰め物

虫歯になりやすい被せ物や詰め物

お伝えしてきたように、虫歯になりやすい被せ物とは、虫歯の原因であるプラークがつきやすいことを意味しています。

コンポジットレジン充填

歯型を取るほどでない小さな虫歯の治療では、虫歯の部分を削りそこに直接コンポジットレジンを詰める、コンポジットレジン充填という治療が行われています。 コンポジットレジンはプラークがつきやすいので、コンポジットレジンで治した歯も虫歯のリスクが高いです。

銀歯

保険診療で長らく使われたきた銀歯は、先ほどのお話ししたように金銀パラジウム合金で作られています。 プラークがつきやすい上に、微妙に硬く、金属としては伸びも良くないので、縁に段差もできやすくなります。 このため、銀歯や銀の詰め物は虫歯になりやすいのです。

CAD/CAM冠(キャドキャムかん)

CAD/CAM冠は、コンポジットレジン系の材料で作られた新しいタイプの被せ物です。 CAD/CAM冠なら、保険診療でも歯の色に近い被せ物で治せるということから、近年普及が進んでいます。 銀歯と比べるとプラークはつきにくいのですが、後述するセラミックほどつかないわけではありません。

CAD/CAM冠とセラミックについては、医療提携施設の町田歯科・矯正歯科のコラムで詳しく解説しておりますので、興味のある方はご参照ください。

虫歯になりにくい被せ物や詰め物

虫歯になりにくい被せ物や詰め物

虫歯になりにくい被せ物や詰め物は次のようなタイプがありますが、いずれも保険診療の適応外です。

オールセラミッククラウン

審美歯科のページでも解説していますが、オールセラミッククラウンは、セラミック材料だけで作られたセラミックの被せ物です。

外層をポーセレン、内層をジルコニアというセラミックで作られたジルコニア・オールセラミッククラウン、二ケイ酸リチウムガラスというセラミックだけで作られたe-maxなどがあります。 オールセラミッククラウンはプラークがつきにくく、歯磨きもしやすいので虫歯になりにくいです。

セラミックインレー

セラミックインレーは、セラミックで作られた詰め物です。 ジルコニアや二ケイ酸リチウムガラスで作られており、プラークがつきにくいので虫歯のリスクを低く抑えてくれます。

セラミッククラウンやセラミックインレーの利点についても、医療提携施設の町田歯科・矯正歯科のコラムで詳しくお話ししていますので、併せてご参照ください。

金歯

金歯は、金合金で作られた被せ物です。 お伝えしたように、金合金はプラークがつきにくいので、金歯は虫歯になりにくいです。 金合金で作られたゴールドインレーという詰め物も同様です。

まとめ

今回は、虫歯になりやすい被せ物、なりにくい被せ物についてお話ししました。 虫歯になりにくいのは、セラミックや金合金で作られた被せ物や詰め物です。

いずれも保険診療の適応を受けていないので、保険診療のものよりは高額ですが、プラークがつきにくいことから、虫歯だけでなく、歯周病にもなりにくい性質を持っています。

虫歯の再発を防ぎたい方、被せ物や詰め物の性質などにご質問のある方は、ぜひ当院でご相談ください。

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