歯周病のメンテナンスってなぜ必要なの?
歯周病の治療は、症状によってはとても長くかかります。 ようやく治療が終わって一安心と思ったら、今度はしばらく後にメンテナンスにお越しくださいと言われます。
風邪などの病気は、治療が終われば、また来てくださいと言われることはまずありません。 どうして、歯周病は治ったはずなのにメンテナンスが必要なのでしょうか? 今回は、歯周病のメンテナンスについてお話しします。
そもそも歯科におけるメンテナンスとは
成増歯科の予防歯科のページでも解説していますが、歯のメンテナンスとは、歯周病治療により治った歯肉や、歯の周りの歯槽骨という骨など、歯周組織の健康を長期間にわたって保ち続けるための処置です。 簡単にいうと、歯周組織の健康管理といったところでしょうか。
メンテナンスが必要な理由
では、今回のテーマであるメンテナンスが必要な理由について説明します。
歯周病菌はゼロにできない
歯周病の原因は、歯周病菌という細菌です。 特に歯周病に強く関係しているのはジンジバリス菌などですが、その他にもたくさんの歯周病菌がおり、なんと数百種類もいると言われています。
とてもではありませんが、全種類の歯周病菌を無くすことはできません。 歯周病菌が残っているということは、いつ歯周病が再発してもおかしくないということです。
プラークの足がかりがついてしまう
歯周病菌はプラーク(歯垢)の中にいます。 ですから、プラークを取り除く=プラークコントロールが重要とされているわけです。
もし、プラークが残ったままになっていると、唾液の成分と結びついて、歯石という石のように硬いものに変化します。歯石の表面はとても細かな凸凹があり、この凸凹は新しいプラークが付着する足がかりになります。
歯石がついたままになっていると、新たなプラークがどんどん増えていってしまい、歯周病が再発しやすくなってしまいます。
歯周病の初期は気付けない
どんな病気でも言えることなのですが、早い時期に病気を発見できると、治療はより簡単になり、治療期間も短くなり、治った後の経過(予後)もより一層良好になります。
歯周病もそうなのですが、困ったことに歯周病のごく初期は、痛みや腫れなどの自覚症状がほとんどなく、気づくことができません。 気づいた時には、歯周病がある程度進んでしまっている可能性が高くなります。
メンテナンスの効果
メンテナンスを受けると、次のような効果が期待できます。
歯周病菌を減らして歯の健康増進
歯周病菌をゼロにできないとしても、その数は減らしておく必要があります。 なぜなら、ある程度の歯周病菌があることで歯周病が発症するからです。
歯周病菌が少なければ歯周病は起こらないので、メンテナンスでは歯周病菌の数を減らし、歯周病の再発を防ぎます。
歯石除去でプラークコントロールをアップ
プラークコントロールの大敵とも言える歯石は、歯にとても強くこびりついているので、歯磨きでは除去できません。 現状では、スケーラーという専用の道具を使って取り除くしか方法がありません。
メンテナンスでは、歯石を除去してプラークコントロールを向上させて歯周病が再発しないようにします。
歯周病の早期発見
メンテナンスでは、歯肉や歯の周りの骨などの歯周組織の状態をチェックします。 メンテナンスを受けていれば、痛みや腫れなどの自覚症状がない段階で、歯周病に気づくことができます。
メンテナンスは、まだ気づかない歯周病を治せるきっかけにもなります。
メンテナンスの方法
では、具体的なメンテナンスの方法について説明します。
検査
まずは検査です。 歯肉の状態、歯磨きの状態、歯石の有無などを検査して調べます。 虫歯の有無も一緒に確認していきます。
スケーリング、PMTC
スケーリング・ルートプレーニング
スケーリング・ルートプレーニングは、プラークの足がかりとなる歯石を取り除く処置です。 歯石だけでなく、プラークも一緒に取ることができます。
まず、超音波スケーラーという器械を使って、お口全体の歯石を取り除きます。 そして、超音波スケーラーで取りきれなかった歯根表面の歯石などをハンドスケーラーというスケーラーで取り除きます。
PMTC
PMTCは、Professional Mechanical Tooth Cleaningの略で、歯科医師や歯科衛生士が、専用の器械と研磨剤を使って歯の表面を磨く処置です。 歯の表面を磨くことでプラークを取り除き、さらに新しいプラークをつきにくくします。
歯磨き指導(TBI)
おつたえしたように、メンテナンスで歯についているプラークを取り除くのですが、さすがに歯科医院に通って毎日のようにメンテナンスを受けるわけにはいきません。 このため、メンテナンスの効果を保つには日々の歯磨きがとても重要になってきます。
ところが、歯の形、位置、大きさ、並び方などは一人ひとり異なっていますので、最適な歯磨き方法、使いやすい歯ブラシや歯間ブラシなどは、自ずと違ってきます。
そこで、使いやすい歯ブラシや歯間ブラシなどの紹介に加え、効率の良い最適な磨き方を指導し、ご自宅で効果的な歯磨きができるようにします。これをTooth Brushing Instructionの頭文字を取り、TBIといいます。
まとめ
今回は、歯周病治療が終わった後にメンテナンスが必要な理由についてお話しさせていただきました。お伝えしたように、メンテナンスが必要な理由は、歯周病の再発を防ぐためです。
せっかく治療が終わったのにと油断せず、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けることが大切です。 成増さくら歯科は、歯周病の治療と予防に積極的に取り組んでおりますので、 メンテナンスについてご質問、ご相談のある方は、当院でぜひご相談ください。