2025.02.19

実は欧米では使われない!?銀歯のお話

もし大きな虫歯になったり、転んだり打ったりして歯が大きく欠けたりした時、どのような治療法が選ばれると思いますか?

多くの方がイメージするのは『銀歯』ではないでしょうか。 銀歯は長年、保険診療の治療法の主流とも言えるほど使われてきたので、日本では歯科治療=銀歯とイメージされる程度にまでなっています。

ところが、銀歯は日本独特の被せ物で、欧米諸国ではまず見られません。 言うなれば、ガラパゴスな被せ物です。 海外ではどうして銀歯がないのでしょうか?また、銀歯の代わりに何を使っているのでしょうか?

今回は、銀歯の問題点と、海外で使われている材料についてお話しします。

銀歯とは

銀歯とは

虫歯になりやすい被せ物と、なりにくい被せ物の違いって?のコラムでもお話ししたように、銀歯とは、「銀」歯と書きますが、純銀の被せ物ではありません。正式には、金銀パラジウム合金と呼ばれる合金で作られた被せ物です。

金銀パラジウム合金は、金12%、銀50%、パラジウム20%、銅17%で作られている合金です。 銀と白銀色のパラジウムがほとんどを占め、見た目が銀色なので銀歯と呼ばれています。

銀歯が普及している理由

日本で銀歯が普及している理由は保険診療です。 保険診療で認められている、歯の噛み合わせに耐えられる被せ物の材料は、長らく金銀パラジウム合金くらいしかなかったので、銀歯が主流になったのです。

銀歯の問題点

金属アレルギー

金属の溶けやすさや溶けにくさは、イオン化傾向というもので測ります。 金銀パラジウム合金の20%を占めるパラジウムは、イオン化傾向が大きく、溶け出しやすい金属です。

そのため唾液に溶け出すのですが、パラジウムは金属アレルギーを起こしやすい金属です。金属アレルギーは、すぐにアレルギー症状が出ないアレルギーであり、手や足の治りの悪い湿疹やお口のただれなどの原因になります。

このような背景から、スウェーデンやドイツでは、妊婦や小児への銀歯の使用が禁止されています。

プラークがつきやすい

虫歯歯周病の原因は、プラーク(歯垢)という歯の表面についている白いカスのようなものです。 プラークは無数の細菌が集まった塊であり、虫歯や歯周病の原因菌も多く存在しています。

銀歯の表面はプラークを呼び寄せやすく、しかも困ったことにくっつきやすい傾向もあります。 このため、銀歯は虫歯や歯周病の原因になりやすく、歯の健康という点でもデメリットがあります。

価格の高騰

近年、金属価格が高くなっていることはご存知でしょうか?年々パラジウムの価格は高額になっています。

海外では、日本のように保険診療で安く歯科治療を受けられる国は稀です。 保険診療が歯科治療をカバーしていない場合も多いですし、もしカバーしていても制限があり、例えば金属材料は対象外となっているケースもあります。

パラジウムを20%も使う被せ物は、高くて使いづらいという切実な事情もあります。

海外でよく使われている材料:①セラミック

海外でよく使われている材料:①セラミック

では、銀歯の代わりに海外でよく使われている被せ物の材料は何でしょうか?まず挙げられるのがセラミックです。

セラミックは、本物の歯のような白さ、光沢感を持っている被せ物材料として知られています。セラミックの利点はそれだけではありません。

プラークがつきにくい

セラミックの表面はとてもツルツルと滑らかです。 滑らかなので、プラークが付着しにくく、たとえ付着したとしても除去しやすいのです。

プラークの中には虫歯や歯周病の原因菌のほか、カビ菌なども存在しますから、 プラークがつきにくいセラミックは、全身の健康という点でも優れています。

アレルギーを起こさない

セラミックは、生体親和性にとても優れた素材です。 生体親和性とは人体との相性の良さのことで、生体親和性が良いと、アレルギーなどの問題が起こりにくくなります。

セラミックは金銀パラジウム合金のようなアレルギーを起こさないので、健康上のリスクもほとんどありません。

海外でよく使われている材料:②金合金

海外でよく使われている材料:②金合金

金合金は、いわゆる金歯の材料です。この金合金にも多くの利点があります。

プラークがつきにくい

セラミックと同様に、金合金もプラークがつきにくい材料です。 したがって、虫歯や歯周病などの歯のトラブルの原因になりにくい被せ物を作ることができます。

やわらかい

金はやわらかい金属材料です。 噛み合わせた時に加わる力を柔軟に受け止めてくれますので、歯や歯の周囲の骨などに負担がかかりにくくなります。

やわらかいため、縁も薄く加工できますから、歯との段差が生じにくく、この段差部分にプラークが付着するのも防げます。

溶け出さない

金はイオン化傾向の低い素材であり、パラジウムのように溶け出すことはほとんどありません。

金のアレルギーは決してないわけではありませんが、その頻度はかなり低いので、健康面でも金歯は優れています。

まとめ

今回は、銀歯の問題点と海外で使われている被せ物材料についてお話ししました。 銀歯は低価格での治療が受けられるというメリットがある反面、健康上の様々な問題となることもあります。

このため、海外では利点の多いセラミックや金の方がよく利用されています。 コストの点でも、日本では自費診療の被せ物=高級品というイメージがありますが、他の材料も高いので、海外ではセラミックや金だけが特別高いというわけではないようです。

成増さくら歯科は、被せ物材料の特徴について、専門的な知識、それらを使った治療経験の豊富な歯科医院です。 被せ物の素材の特徴などにご質問やご相談のある方は、成増さくら歯科にぜひお越しください。

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